ジェームス・サワビーの絵は時代を超えた名画


パワーストーン辞典のアイオライトのフォールスネームの記事を、ようやく書き終わりました。
アイオライトのフォールスネーム一覧

フォールスネームと聞くと、「宝石業者が商売の為に付けた名前」といったイメージが先行しがちです。確かに、それも事実です。安い物を高く売るのは商売の基本ですし、業者の皆さんにもそれぞれの生活があります。商売って言うのは慈善事業やボランティアでは成り立たないですからね。うーん世知辛い(笑)

ただし、フォールスネーム=商売というのは、フォールスネームの一面でしかありません。見方をかえると、フォールスネームはパワーストーンの歴史を語る上で、重要な資料になります。特にスタインハイライトは、アイオライトの歴史を語る上で、欠かす事の出来ないフォールスネームと言えるでしょう。ルイ・コルディエなどの鉱物学者をはじめとする、沢山の人々がアイオライトに魅せられてきた事が良くわかります。

パワーストーン辞典でも紹介しましたがジェームス・サワビーのエキゾチック・ミネラロジーは発売当時、1冊の本としてではなく、パワーストーン一つ一つを紹介していく、今の週刊誌みたいなものだったそうです。サワビーの絵は、鉱物の特徴を写実的にとらえていますので、鉱物本来の美しさが伝わってくる素晴らしい絵です。

彼はボタニカルアートのイラストレーターとしても有名ですね。ボタニカルアートとは、「植物学的な絵画」のことです。ボタニカルアートには4つの特徴があります。

1 実物大に描く
2 植物の特徴を写実的に描く
3 背景を描かない
4 人工的な物(植木鉢、花瓶等)を描かない

写真がない時代に、こうした植物学や鉱物学を発達させ、正確な情報を次世代に伝えるためには、ボタニカルアートは無くてはならないものでした。現在でもイギリスのキュー王立植物園には、専属のボタニカルアーティストがいるそうです。

サワビーのような素晴らしいイラストレーターがいたからこそ、植物学も鉱物学も今日の発展があるわけですし、当時の情景に思いを馳すことが出来るわけです。

サワビーは自分の個性を出し表現するような、いわゆる画家ではありませんでしたが、真に美しい物にとって、そんな事は小さな問題であり、本物は時代を越えて行くものだと、つくづく思いました。

Kストーン代表 上里知弘